西東 たまき
(更新)
読みやすく、きちんと伝わる文章を作るには、和文でも英文でも「句読点」が欠かせません。
そしてそれらはルールに従って使う必要があります。
英語の句読点は和文で使うものより種類が多い上、アメリカ英語とイギリス英語では、呼び名や使い方が異なるものもあります。
当記事では、複雑だけどきちんと知っておきたい「英語の句読点の使い方」を分かりやすくご紹介していきます!
「句読点」は英語で “punctuation” です。“punctuate” で、「句読点を打つ」という動詞になります。
では早速、英文で使われる句読点にはどんなものがあるのか見ていきましょう。
和文で文章の最後につける「。」にあたる記号で、「文の終わり」を示します。
アメリカ英語では “period”、イギリス英語では “full stop” と呼ばれます。
ピリオドには、もう1つポイントとなる使い方があります。
省略語の後ろにつけることで、言葉が省かれていることを示します。
英語の敬称には “Mr.(男性)”、 “Mrs.(既婚女性)”、 “Ms.(既婚・未婚を問わずに女性)” などがありますね。
これらも省略語ですから、学校では、最後にピリオドをつけるように習ったのではないでしょうか。
しかし、ピリオドをつけるのはアメリカ英語の場合です。イギリス英語では不要です。
コンマにはいろいろな使い方がありますが、使い方のポイントは「文章や言葉を区切ること」です。
日本語の「、」と同様、言葉の羅列を区切るのに使います。
主文に補足を加えるときは、挿入する文の前にコンマを置きます。
文中に説明文を追加するときは、追加する文章の前後をコンマで挟みます。
独立した2つの文章を “and/but/or/so/for/nor/yet” で繋ぐときは、その前にコンマを入れます。
文頭に副詞を使う場合、直後にコンマをつけます。
「〇〇ですね?」のように、相手に同意を求める訊き方をするとき、英語では次のように言いますね。
下記例文の “do you?” や “wasn't she?” など、聞き返し部分の前にはコンマを入れます。
“Yes” や “No” の後にも入ります。
また、“Now”、 “Well”、 “So” などの呼び掛けから文章を始めるときも後ろにコンマを入れます。
手紙やメールの宛て名の最後はコンマで締めます。
英語で住所を書くときは、それぞれの地名をコンマで区切ります。
ピリオドとコンマの使い方は分かりやすいと思いますが、英語独特の句読点であるコロンと、次に挙げるセミコロンは少し難しいかもしれません。
英文を読むときはコロンやセミコロンがどのように使われているかに注意し、感覚を掴むようにするとよいでしょう。
コロンは、主文に補足説明を加えるのに使います。
「つまり/すなわち」という感覚で理解しておくと分かりやすいでしょう。
箇条書きのように言葉を列挙するときは、箇条書きを始める前にコンマを置きます。
「インフルエンザの主な症状とは:
-発熱
-咳
-鼻水」
また、手紙やメールを書くとき、相手の名前が分からない場合は “To Whom It May Concern(ご担当者様へ)” のように書くことがあります。
通常、宛て名の後ろはコンマを置くところですが、この表記の場合はコロンで締めます。
2つのピリオドが縦に重なっているのがコロンなのに対し、ピリオドとコンマが組み合わさっているのがセミコロン(semicolon)です。
セミコロンは2つの文章を繋ぐ「接続詞の代わり」になります。
例文のように、対比性や関連性がある文章同士を繋ぎます。
普段なら “I am a morning person, and he is an evening person” のように “and” で繋ぐところですが、セミコロンは “and”、 “but”、 “or” などの代わりに使うことができるのです。
“however”、 “therefore”、 “then”、 “next”、 “otherwise” など、文章を繋ぐ役目をする副詞(接続副詞)を使って2つの文を繋ぐときもセミコロンをつけます。
コンマを含んでいる語を列記するときは、セミコロンで区切ります。
ハイフン(hyphen)の使い方は簡単です。
2つ以上の単語を繋げて1つの言葉にするのに使います。
複数の単語をハイフンで繋げて1つの形容詞のようにすることができます。
単語に “ex-” や “self-” などの接頭辞をつけるときは、間にハイフンを挟んで1語にします。
“T-junction(T字路)” や “X-ray(X線/レントゲン)” など、アルファベット1文字と単語を繋いで1つの言葉を作ります。
単語の途中で改行しなければならないときはハイフンで繋ぐことで、1つの単語であることを示します。
ダッシュ(dash)とハイフンはどちらも同じような横棒なので区別がつきにくいですが、実は微妙に長さが違います。長いのがダッシュ、短いのがハイフンです。
コロンと同じように、ダッシュもまた主文に説明を挿入するのに使います。
使い方はよく似ていますが、主文のテンションを保ちながら淡々と説明文を挿入していくコンマに比べ、ダッシュを使うと一呼吸置く感じになり、より強調されて響きます。
日本語の文章で、文中にわざわざ( )を使って挿入句を入れるのと同じような感じでしょうか。
「A~B」のように範囲を示すのに、英語では下記のような横棒を使います。
短いのでハイフンのように見えますが、正確には “en dash” という別の記号です。
小文字の “n” と幅が同じなのでこのように呼ばれます。これに対し、通常のダッシュは小文字の “m” と幅が同じということで、“em dash” と呼びます。
違いが分かりにくいので、パソコン入力時にどのキーを使えばよいか迷うなら、ウィンドウズでは次のコツで簡単に入力できます。
和文で使う「」(カギカッコ)や、『』(二重カギカッコ)に相当する記号が “quotation marks(引用符)” です。人のセリフや文章・言葉を “quote(引用)” するときに使います。
イギリス英語では “inverted commas(逆さになったコンマ)” と呼ばれます。
点が1つずつのものを ‘single quotation marks’、2つずつのものを “double quotation marks” と呼びます。前者はイギリス英語、後者はアメリカ英語で使われます。
使い方に違いはありません。和文と同じように、「セリフ」「引用」、あるいは「強調や皮肉」を表すのに使います。
なお、アメリカ英語かイギリス英語かによって、引用文のコンマやピリオドを引用符の「内側に入れるか」、「外側に入れるか」が異なります。
アメリカ式では内側に、イギリス式では外側に置きます。
英語の句読点の使い方を、アメリカ英語とイギリス英語の違いも交えてご紹介しました。
できるだけ正しく使いたいのは当然ですが、日本語の文章でも句読点の使い方がまちまちなものがあるように、実際はネイティブの文章でもあやふやだったりするものです。
少なくともアメリカ式とイギリス式のルールは、どちらかに統一するよう心掛けながら、多くの英文に触れることで使い方の感覚を養っていきましょう。